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宮本佳世乃句集「鳥飛ぶ仕組み」 [俳句鑑賞]

 

 

宮本佳世乃句集「鳥飛ぶ仕組み」

 

 

 

クリーム色のシンプルな装丁に、帯の、すこし光沢のある白の風合いがとてもよくマッチしている。

手に柔らかいこの句集の表紙は、これから始まる物語のやさしい予感。

宮本佳世乃さんの第1句集「鳥飛ぶ仕組み」は「現代俳句協会新鋭シリーズ2」として平成24年12月25日に発行された。

私が矯めつ眇めつ、何度も繰り返し読んだ句集の、これが最初になったと思う。

本当に、何度読んでも、やさしく淡い風合いを感じる句集である。

ページをめくっていて、句群から白っぽい色を感じる。白くてほんのりと明るい。ぎらぎらと明るすぎない、正午過ぎのような陽の光。そのなかに、パステルや色鉛筆ですこしぼかしたような、虹の中からちょっとずつとりだしたような色彩が感じられる。まるで絵本のような句集。

 

 

以下、私の好きな句。

 

 

くもりの日橋をわたれば百の蝶

エナメルの街を見下ろす熱帯夜

はつなつの麒麟は空を授かりぬ

七月の桟橋へ布掛けにゆく

立冬の空より真珠零れたる

夏の草夢のなかまで漏れきたる

夕焼を道となりゆくミシンかな

霧の森いつからか火を孕みたる

ブローチの光が飛んで冬の森

白さるすべり幼さとまぼろしと

蟬の殻かざせば色のあふれだす

空気に溺れひまはりのひらきけり

一本の薄となりて溺愛す

ともだちの流れてこないプールかな

 

 

「くもりの日橋をわたれば百の蝶」や「ともだちの流れてこないプールかな」などは、一瞬どきっとするような句だ。どぎつい言い方や大袈裟な調子ではなくて、あくまですんなりとした口調で表現されているからこそ、妙に印象に残るとも言える。

 

上に挙げた中でもとりわけわたしが一番好きなのは、

 

 

 

はつなつの麒麟は空を授かりぬ

 

一本の薄となりて溺愛す

 

 

 

である。

 

 

貴重な御句集を有難うございました。

 

 

 

 

 


山田露結句集「ホームスィートホーム」 [俳句鑑賞]

山田露結句集「ホームスウィートホーム」

 

 

 

「ホームスィートホーム(わたしの人生は)」と呟いてみる。

その言葉の響きには、どこか一片、切なさが含まれているように感じる。

わたしのおうち。大事な大事なおうち。

そのように呟いてみること、それ自体に切なさがあるように思う。

おそらく、私のこの句集に対する「読み」は、このタイトルの響きに多分に影響を受けてしまっただろう。

そのためか、

 

 

 

朧夜に家のかたちのありにけり

いつになく酔ひたる喪主のはだか踊り

ショーウィンドウのマネキン家族秋高し

 

 

 

これらの、自分自身の生活を突き放した目で見ているような句が、選択的に我が目に際だって見えた。

句集中、たとえば

 

 

泳ぎ来てひかりのごとく眠りけり

 

 

のように、限りない愛情とも充実とも思える句や、

他に諧謔や俳句独特の措辞の効いた句がたくさんあり、必ずしも私が冒頭で述べたような「切ない」作品集ではないのだが、

文字通り、自分は「ホームスィートホーム」の語群の醸し出す「切なさ」にやられた口といえるだろう。

 

 

人間は誰しも無数の可能性や自由への希求をある時ある分岐点で断念して、「いまのしあわせ」を手に入れるのだよな、とふわふわした感じで、思う。

 

 

 

貴重な御句集を有難うございました。

 

 

 

 

インフルエンザはめったくそ腰が痛いので気をつけましょう!!

 

 

 


句集ユリウス掲載ブログ② [句集「ユリウス」]

句集「ユリウス」掲載ブログ②

 

 

現在インフルエンザ治療中です。熱と筋肉関節痛でふうふういっていますが、

そんななかでも、書いていただけた記事を発見、大変有り難く、時宜を外さずに御紹介していきたいと思い、ブログ更新に至りました。

今回も掲載された順に御紹介します。

 

 

LOTUS同人 熊谷陽一さん 

熊さんのハ短調

http://kumagaiyouichi.blog122.fc2.com/blog-entry-578.html

 

 

五十嵐秀彦さん 

無門日記

http://blog.livedoor.jp/mumon1/

 

 

西原天気さん

個人ブログ 俳句的日常

http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2014/01/blog-post_29.html

 

週刊俳句  格闘する俳句 佐々木貴子句集「ユリウス」を読む

http://weekly-haiku.blogspot.jp/2014/02/blog-post_7528.html

 

 

 

皆様、真に有難うございました。

 

自分自身も、沢山の方から貴重な句集をいただき、読むという機会をいただきまして、句集を読むということ、それに対して感想を載せていくということの難しさを改めて実感することもありました。

しかしやはり、俳句というこの独特の風土―作者と読み手が容易に繋がってしまい、純粋に作品としてではなく読みに人間的な感情を伴ってしまうー、ということを認識したうえで、

極力、単純純粋な感想、感受を載せていきたいと思います。

一度ブログに掲載したが、書き様に疑問が生じて消してしまったものも含めまして、再度。

 

まずは、拙句集について言及くださいました皆様、真に有難うございましたと、御礼まで。

 

 

         佐々木貴子

 

 

 


句集ユリウスより11 [句集「ユリウス」]

 

句集「ユリウス」より

 

 

百億の雪やたちまち青に帰す   貴子

 

 

 

 

    Ten billion snowflakes

 

           in a flash

 

 

      All comes to the blue

 

 

 

 

 

silence

 

 

 

 

 

 

 

寒いよ~~


句集ユリウスより10 [句集「ユリウス」]

 

句集「ユリウス」より

 

 

いつまでも他人のままの雪うさぎ   貴子

 

 

 

 

  Dear,  snow rabbit

 

 

Why are you still

 

 

a  stranger

 

 

          to  me?

 

 

 

 

 

 

 


句集ユリウスより9 [句集「ユリウス」]

 

句集「ユリウス」より

 

 

着水は静かに匂う雪の華   貴子

 

 

 

 

  A snow crystal like a petal

 

 lands on the water

 

 

           fragrant

 

 

 

 

浅田真央ちゃん

 

 

 

 


句集ユリウスより8 [句集「ユリウス」]

 

 

句集「ユリウス」より

 

 

帽子小さくなるという病   貴子

 

 

 

A man wearing gray hat

 

       His body is

 

getting smaller and smaller

 

 

  

 

 

 

うーーーーーん。

なにが英訳において難しいかは、やってみるまで全然わからないぞ!

 

 

 

 

 


句集ユリウスより7 [句集「ユリウス」]

 

句集「ユリウス」より

 

 

  箒木に百億の昼絡まりぬ   貴子

 

 

 

 

 Ten billion days

 

      twine round kochia

 

  round and round and round and rou……..