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髪洗いの断崖 [なんとなくの話]

私は思考実験をするのが好きだ。一人SF遊び。

十代の多感な頃にふと思ったことがある。

私は今こうして通学路を歩いている。

隣には友達がいて自分はトレパンを穿いて、末枯れの草々が空き地に項垂れ、この世界が自分という一地点を中心に縦横に広がっているのだ。そのはずだ。

しかし、とふと気付く。

私が見ているのは眼前だけだ。後ろは知らない。

後ろに広がっているいつもの住宅街の風景を、私は無意識に前提にしている。でも本当は自分の後ろで見えない背中で、真っ暗な断崖が広がっていたらどうする?

この発想としばらく一緒にいた。

 私が向く方向を変えると断崖も私の背中にくっついて方向を変え、私の後ろは本当は常に真っ暗な断崖なのではないか。目の前に見える風景はいつも自分のビジョンにだけ用意された映写機なのではないか。自分は自分にだけ見えている目前の映像、スクリーンを常に真実であり世界に共通するものとして錯覚し捉えているのではないか。 

家に帰り髪を洗う時下を向いて眼を閉じた。無論、真っ暗になった。私が無防備なのをいいことに世界は、真っ暗な断崖に豹変し、私はただ尻という一点で突端にくっついているのではないか。

 眼を開けると世界は私に風景を用意する。私はそれを真実であり上下四方に通用しているものだと錯覚する。

結局自分は目の前に用意されたもの、あるいは自分が用意したいもの、信じたい世界をただ再生しているだけなのかもしれない。

背中の断崖はついて歩く。しかし、絶対に自分を陥れない。

中学の頃、そんなことを考えていた。

ふと思い出したので書いてみる。


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流星

貴子さん、こんにちは!

「髪洗いの断崖」 面白く拝読いたしました♪

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に、古い歴史とは、当時に在ったことではなく、当時の人々が「こう」と思ったことなんだ、というような意味の文章があります
貴子さんの思考に、通じるものがあると思いました

人それぞれで、「事実」の絵柄も変わってくるのですよね

私のブログにリンクさせて頂きました。事後ですが、かまいませんか?
これから、ときどき貴子さんに会いにきますね♪
by 流星 (2013-01-18 13:25) 

sasakitakako

流星様


お元気そうでなによりです。
リンク、全然かまいませんです。むしろ有難うございます。
わたしも流星さんのブログのリンクを貼りたいですが、やりかたがわからず(汗)

どうぞいつでも、遊びに来てくださいまし。


  貴子
by sasakitakako (2013-01-20 11:09) 

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